日本史を学ぶにあたって、史料は欠かせません。
ただ、昨日の記事で紹介した木簡は第一次史料ですが、ここで紹介するのは第二次史料です。
第二次史料は、国家によって編纂されたもの。
つまり、その時代の権力者に都合がいいように編纂されている可能性があるのです。
なので、内容がすべてが真実だとは限りません。
『古事記』と『日本書紀』、『風土記』
①『古事記』
現存する日本最古の史書で、『古事記』の序によると、天武天皇の命により稗田阿礼が読み、元明天皇の詔により太安万呂が選録したもの。
和銅5(712)年に完成。
上巻の初めに漢文の序があり、『古事記』の成立事情がわかる。
②『日本書紀』
天皇の行動、政策、天文、災異、端祥、外国関係などのことが記されている。
六国史(りっこくし)とよばれる正史の1番目にあたる。
天武天皇の第5皇子舎人親王らの撰で養老4(720)年に完成。
舎人親王(とねりしんのう)って読めますか?
最近は2008年東京都に日暮里・舎人ライナーが開通したことでメジャーになりました。
東京都足立区の地名「舎人」と舎人親王の関係については、謎ですが、何か関係があるという可能性もありますね。
③『風土記』(ふどき)
奈良時代の地誌で、和銅6(713)年に元明天皇の詔により、下記の項目について諸国から報告するように命じられ進上されたもの。
1)郡・郷の名に好い字をつけること
2)郡内の物産品目を記すこと
3)土地の状態について記すこと
4)山川原野の名を記すこと
5)土地の伝承を記すこと
現存するものは、常陸国・出雲国・肥前国・播磨国・豊後国の5か国で、完本は出雲国のみ。
各国ごとに編集方針が異なるため、内容は統一されていない。そのぶん個性的ではある。
史料から学ぶ日本史
たとえば『日本書紀』に詳しく書かれている有名な「大化の改新」
悪者蘇我蝦夷、入鹿親子が、中大兄皇子と中臣鎌足に成敗されるあの事件ですよ。
「ムジコの日なし大化の改新 645年!」って受験の頃覚えましたよね😊
歴史用語では「乙巳(いっし)の変」と呼ばれる蘇我氏暗殺事件ですが、これ実はなかったんじゃないの?・・・という説も最近はあります。
だいたいが『日本書紀』の編纂に大きな力をもっていたのが藤原不比等です。
「パパを英雄にして、自分の地位をゆるぎないものにしちゃおっと!」などと考えたとか考えないとか・・・???
大化の改新って、いかにも明治維新を思わせるような御大層なネーミングですが、ようするにクーデターですからね。
それも「蘇我氏、目障りなんだよ。俺ら天皇家をないがしろにしやがって。」みたいな動機です。
ま、あの中大兄皇子ですからね。
弟の大海人皇子(後の天武天皇)の奥さんである額田王があまりに美人だったので、「俺に譲れよ~」と弟から奪ってしまうようなお兄さんです。
あかねさす 紫野行き 標野行き
野守は見ずや 君が袖振る
あかねがかった紫の野原で、番人に見られるかもしれないのに、あなたはわたしに手を振ってくれるのね♥
むらさきの 匂える妹を 憎くあらば
人妻ゆえに われ恋めやも
天皇の妻になったあなたが憎いなら、こんなにも恋いこがれたりはしない、あなたはもう人妻なのに
by 万葉集
額田王と大海人皇子は、中大兄皇子が天智天皇として即位する席で、こんな歌を歌って、「私たち、別れても好きで~す!密会してまぁす♥」とぶっちゃけてるわけです。金妻も昼顔も真っ青😲
話しがだいぶそれました😅
私の個人的な意見としては「大化の改新」がなかったというのは、あまりに大胆な仮説です。だから、
「『大化の改新』はあった。でも、私たちが小学校の歴史で習ったような美談ではない。」といったところでしょうか?
また新しい木簡などが発見されれば、歴史はもっと真実に近づくかもしれませんね。
なので、今はまだ、当時の権力者が編纂した『日本書紀』その他の第二次史料を鵜のみにするのは危険だよ・・・と思うわけです。

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