暮らしと勉強、猫と一緒に~Bettyのブログ

実家の母を介護するために北海道から引っ越してきました。その介護も終わり、片づけと大学通信教育部の勉強と猫と。そんな雑記ブログです。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

NHK「事件の涙 そして、研究棟の一室で」九州大学でのある研究者の悲しい結末

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桜がずいぶんと花開いてきました。

靖国神社ではソメイヨシノが満開になったと発表されました。

3月も末。

4月からの新生活に心踊る卒業生も多いことでしょう。

 

昨日の夜、録画していたドラマを観て、そのドラマが終わったら、たまたまやっていたNHKの番組。

それが「事件の涙・そして、研究棟の一室で~九州大 ある研究者の死」でした。

 

重いテーマでした。

 

 目次「事件の涙・そして、研究棟の一室で~九州大 ある研究者の死」

 

九州大学研究棟での放火事件

番組は昨年末の再放送。

扱った事件は昨年の9月に、九州大学の院生長屋と呼ばれる研究棟での放火でした。

放火の末の自殺をした「K」という男性。

彼は8年前に九州大学大学院を論文未提出のため退学していました。その後も無断でこの研究棟を使い続けていたのです。

研究棟は取り壊されることになっていました。

 

Kの生い立ち

Kは、大変成績の良い中学生でした。

でも父親の事業がうまくいかず、高校へは進学せずに、給付金付きの自衛隊の学校へ進学します。ただそこではなじめず、21歳の時に九州大学法学部に進学し、研究者の道を選びました。

家の事情から進学できず、自衛隊の学校で虐めなどに遭った経験から「法を学び、人間の平等について研究する」ためです。

 

Kの大学院生活、そして卒業後

とても真面目な人柄だったのでしょう。

Kは大学を卒業し大学院に進んでから、思うような論文が書けず、結局大学院には8年間在籍し、在籍期間が切れ、退学扱いになります。

それでも企業には就職をせず、法律の研究を続けます。

非常勤講師のバイトをいくつも掛け持ちします。

それでも足りずに飲食店のバイトもします。

なぜなら。

彼には借金があったのです。

奨学金返済という700万円の借金が。

 

奨学金について

私は以前日テレのドラマ「先に生まれただけの僕」が大好きでした。

そこで奨学金についてふれていました。

hiro-beans-attack-no1.hatenablog.com

高校生に奨学金の説明はあっても、「奨学金を返済するのがどんなに負担になるか」という説明はなかった・・・という翔くん演じる校長先生はつぶやきます。

 

Kの仕事ぶり

Kは、非常勤講師として一生懸命講義の準備をしました。

学生が興味をもつ題材を探し、時間をかけて資料を作りました。

また飲食店のバイトは肉体労働でした。

そしていくつかやっている非常勤講師の仕事も減っていき、経済的に窮地に立たされます。

無断で使用している研究棟からは退去を迫られ、結局彼はそこに火をつけ命を絶つのです。

 

彼は、教え子たちに言います。

「勉強して社会に貢献しようとしても無駄だ。大事なのはスペシャリストになること。」

 

Kの人柄

彼は努力家です。

勉強も仕事も努力を惜しまなかった。

そして彼はまた人とのコミュニケーションも十分にとれる人柄でした。

友人、先輩(現在は大学教授)、行きつけのラーメン屋さん、整骨院の女性・・・

みんな優しく、彼のことを悪く言う人はいませんでした。

企業に就職していれば、また違った人生だったのでしょう。

でも研究の道を選んだ。

そしてその研究の成果ともいえる論文はなかなか進まなかった。

 

研究者の苦悩

青年期、経済的には恵まれていなかったといえど、その後企業に入っていれば、ここまで追いつめられることはなかったのかもしれない。

でも研究とは、いったい誰に向いている職なのでしょうか。

裕福な資産があれば、援助してくれる環境があれば、才能が早くに開花すれば、続けられるのでしょうか。

 

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私の子供たちも研究をしていた時期があった

私の長男も長女も理系でしたが、研究を少しだけかじっていました。

結局長男は大学院を修士課程で終えると、普通に企業に就職しました。

「研究はもういいと思った。」と言っていました。

長女は、6年間の大学を卒業後、1年は研究職に就いていたものの、結局終止符をうちました。

今はふたりともそれぞれ、それなりのお給料で働いています。(ふたりとも奨学金のお世話になり、返済中です。)

また二女の旦那様も大学は理系でしたが、「研究はもうたっぷりやったから。」と、うちの長男と同じようなことを言い、普通に企業に就職しました。

 

私には研究のことなど何もわからなくて。

「せっかく勉強したんだし、続ければいいのに。」と心の中でちょっと思っていたのです。口にはしなかったけど、たぶん態度に出ていたと思います。無責任な親の考えだと反省しています。

 

国が研究者にしてあげられることは

Kは、優秀な人材であるにもかかわらず、自ら悲しい結末を選んだ。

本人の努力と才能だけでは、この日本という国ではどうにもならないことがあるということですか?

研究者としての論文が完成しなかったとしても、非常勤講師としての職をもっと優遇してあげることはできなかったのでしょうか。

今通信教育での大学生という立場の私、もっと己の勉強の在り方を考えなければいけないなと痛感しています。

 

「大学」という学歴だとか、大人になるための猶予期間のためにとかではなく、純粋に勉強したくて、社会に貢献したくて、研究の道を望んだKさんのご冥福を心からお祈りしたいと思います。