第3波がやってきたのか、それとも第1波も第2派もなく、実はず~っとコロナ禍の波にのまれているのか。
2020年は終わろうとしているのに、この1年ずっと翻弄されています。
一時期話題になったアルベール・カミュの『ペスト』
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目次
14世紀のパンデミック、ペスト
ヨーロッパでの死者はおよそ3,000万人、人口の1/3が消えたといわれています。
ペストとは
ペスト、元々は特定の地域の病でした。
現在の研究では、ペストは中央アジア付近から広まったという説が有力です。
ペスト菌はネズミからノミを介して人に感染します。
そして飛沫感染などで、人から人へと感染することがあります。
ペストがヨーロッパに運ばれる
アジアにあったペストがなぜヨーロッパで流行ったのでしょうか。
モンゴル帝国
13世紀にチンギスハーンが建国したモンゴル帝国。
交易のために、その強大な国に交通網を整備。
これまでにないほど活発な人の流れが始まりました。
交通網を利用してアジアの風土病であったペストがヨーロッパへ運ばれます。
モンゴル軍のペストまん延作戦
14世紀半ば。
クリミア半島の港町カッファ。現在のフェオドシャです。
そのカッファを侵略しようと1346年モンゴル軍がやってきます。
その攻防の中、モンゴル軍の中でペストが広まったのです。
モンゴル軍は恐ろしい作戦を実行します。
ペストで亡くなった味方の亡骸を敵に放り込みます。
カッファでペストがまん延したのがヨーロッパのペストパンデミックの引き金でした。
まずはイタリア
ヨーロッパで最初に感染が広がったのがイタリア。
ペストは、ベネチアなどの港町から内陸部へと広がります。
当時の人々は救いを求めて教会へ殺到します。
閉ざされた空間に大勢の民が密集します。
三密 です。
人々は現実逃避をします。
「憂鬱なことを考えてはいけません。気晴らしに遊戯場へ足を運びなさい。」
まさに三密!
ヨーロッパ全土へ
フランスやイギリスにも広がります。
疫病が存在する場所から逃れようとします。
神父も医者も逃げ出します。
こうして人と共にペスト菌も移動し、感染が大きく拡大します。
都市部だけでなく、人が少ない場所まで。
そう、不要不急の移動 です。
ユダヤ人迫害
人間はスケープコートを作るのです。
非常に不安で恐怖に満ちた出来事が起こると人々は異質なものを排除することによってもしかして自分を守れるのかもしれないと思ったりすることがあるのかもしれません。
これは現代のコロナ・ハラスメント にも通じる人間の弱さでしょうか。
封鎖した村
17世紀の半ば、イギリスでは牧師の提案で村を封鎖した例もあります。
ロックダウンですね。
医者のいない村ではペストがまん延し、悲劇が起こりました。
周囲の村には広がりませんでしたが、1年ほどの間に4割もの村人が命を落としました。
ペストに挑む
およそ5年にわたってヨーロッパを蹂躙 したペスト。
人口の1/3にあたる3000万人もの命を奪ったのです。
その後主な都市だけで500回以上の流行を繰り返しました。
しかし科学は進歩しました。
17世紀ペストが流行すると多くの大学で臨時休校しました。
イタリアベネチアでは船が上陸する時、検疫を行うようになりました。
患者は隔離するようになりました。
隔離から治療、復帰までの仕組みが整います。
感染リスクの高い医師は独特の防護服を着用します。
フランスでは街中を消毒します。ペストの毒を身体から排出するために蒸し風呂に入り(現在の医学からするとその効果は疑問視されている)新品の服に着替えます。
救世主北里柴三郎
19世紀の終わり、ペストの正体があきらかになります。
1894年、ペストの原因を明らかにすべく立ち上がったのは北里柴三郎。
この頃香港を中心にアジアでペストが流行していました。
フェノール水溶液で消毒すること。
熱を加えること。
太陽で日射消毒すること。
日本でのペスト対策
1899年、広島県で日本で初めてのペストによる犠牲者がでます。
その後各地に広がりつつあったのですが、患者を隔離、消毒。
しかし。
商人の町大阪では、ネズミを福の神とあがめていました。(大黒天の神使が鼠)
🐭ネズミの駆除が思うように進まないのです。
そして貧困家庭では医療費を捻出できないため、感染を隠そうとします。
人間そのものがペストと戦う人の敵になっていたのですね。
ネズミを1匹5銭で買い取りするようになると、駆除が進みました。
ペストがどんな病気なのかどうしたら防げるのか啓蒙活動を盛んに行いました。
1926年を最後に国内でペスト患者は報告されていません。
参考文献
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最後に
感染症は人間が自然の一部である限り、決してなくなるものではないのです。
ペストと戦った偉人のように、おそらくコロナも人の努力と知識によって治癒する病気となるでしょう。
なってほしい。
私は非力で、何もできない自分が情けない。
医療従事者の方、研究者の方、走り回っておらえる行政の方、こんな社会で経済を回そうとがんばっておられる方、その他、その他・・・
たくさんの方に感謝の言葉をおくりたいです。
ありがとうございます。