先月NHKで放送された中村倫也さんMCの『今日、うちでなに食べる?~世界のぽっかぽか料理編~』で、はに丸くんが「どんぐりご飯」を紹介していました。
どんぐりって食べたことないけど。
かなりアクが強そう…。
でもクックパッドでもちゃんと紹介されているどんぐり料理。
目次
縄文クッキー
縄文時代から、どんぐりが日本人にとって貴重なエネルギー源でした。
「縄文クッキー」という言葉をご存じでしょうか。
画像のようなきれいなクッキーではありません。
縄文クッキーって何?
アク抜きされたどんぐりなど堅果類を主体に獣肉、卵などをこね合わせて焼き上げたパンのような炭化物を指します。
長野県の曽利遺跡において初めて発見されました。
縄文クッキーには2種類ある?
山形県東置賜郡高畠町の押出遺跡から出土したクッキー状炭化物の残存脂肪酸分析を担当した中野益男氏(帯広畜産大学)が、この遺物を木の実、獣肉(シカやイノシシ)、動物の血、卵などに塩と天然の酵母を加えて200~250℃で焼いたハンバーグ状の食品を「縄文クッキー」とし、植物質主体と動物質主体の2種がある可能性を指摘しました。
縄文時代の食生活は豊かだった?
私たちがおやつに食べているクッキーと比較すると、「縄文クッキー」の方が、タンパク質、ミネラル、ビタミンが豊富で、栄養学的には完全食に近く、保存食としてなかなかのものだったといえます。
カロリーメイトみたいな感じですかね?
脂肪酸分析によって明らかになったのは、思いのほか豊かな縄文の食生活だったのです。
旧石器捏造事件
しかし。
残存脂肪酸分析法は2000年に発生した旧石器捏造事件に際して信頼性が疑問視されます。
千年も万年も脂肪が残るのか?
混じり合った脂肪酸からもとの脂肪をもつ動植物を特定できるのか?
自然科学側と考古学側の両方の問題から、残存脂肪酸分析法は信憑性を失いました。
残存脂肪酸分析法は信頼性を欠き、分析結果から材料を特定した根拠も薄いことが指摘され、動物質材料を含む「縄文クッキー」に関しては存在が想定されるのみとなりました。
古代に思いを馳せる
そういった疑わしさにより、この縄文クッキーが学術的に素材から実態まで不明であるわけですが、「縄文クッキー」のネーミングは可愛くて、博物館などの体験学習やイベントでしばしば再現されました。
確かに夢はある。
どんぐりを使うのは冒険ですが、クリやクルミで素朴なクッキーをお子さんと作りながら、考古学の話なんぞしてみるのは楽しそうです。
「大昔の人も、これと似たようなお菓子を食べてエネルギーにしてた(かもしれない)んだよ。」
残存脂肪酸分析法からわかるように、考古学というのは自然科学者とタイアップして研究するものだなと感じます。
たとえば、お子さんが「恐竜が好きだから、考古学を勉強したい。」と言いだしたとしたら、「考古学は、歴史だけでなく、生物学や化学も勉強しなくちゃね。」と教えてあげましょう。
社会も理科も、そして算数も必要だということを。
そして文献を読み解く読解力、つまり国語も必要だということを。