暮らしと勉強、猫と一緒に~Bettyのブログ

実家の母を介護するために北海道から引っ越してきました。その介護も終わり、片づけと大学通信教育部の勉強と猫と。そんな雑記ブログです。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

日本初の女医、荻野吟子

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今、コロナ禍で、医療従事者の方たちの努力には感謝の気持ちでいっぱいです。

日本で初めての女医が誰だかご存じでしょうか。

シーボルトの娘楠本イネではありません。

日本人女性で初めて医師国家資格を取得したのは、荻野吟子です。

 

目次

 

荻野吟子が医師になるまで

医師を志すきっかけ

荻野吟子は、武蔵国北埼玉郡上川上村の名主に望まれて10代で結婚します。

しかし夫から感染した淋病がもとで離婚します。

その時に男性医師に診察をされる屈辱的な体験から、女医を志すのです。21歳でした。

「どれだけたくさんの婦人病患者が男の医者に診られることを嫌って症状を悪化させ亡くなっているのでしょうか。どれだけの女性が不妊症になって無情にも離婚の口実とされてしまっているのでしょうか。誰かがこの不幸な女性たちを救うため立ち上がらなければなりません。かいより始めよ。まず私が医者になってみせましょう。」

『女学雑誌』より引用

 

北海道情報大学教授(女性史)の広瀬玲子さんは言います。「女性たちを救うには女性の医者が必要だと思って実際にやろうとしたところに彼女(荻野吟子)のすごさがある。自分が先頭に立ってやろうという先覚者としての使命感を持ちえた女性であった。」

 

医師を目指す

明治6年上京、荻野吟子は塾に入り一生懸命勉強します。

この頃、国が実施する「医術開業試験」に合格しないと医師として認められないことになりました。

それまでは資格がなくても誰でも医者になれたのです。

しかし残念ながら、医者は男性しかなれない、前例がないと拒否され、吟子は「医術開業試験」の願書を受理してもらえませんでした。

吟子は古い文献を調べます。

奈良時代の書物、古代の法律の注釈書である『令義解』八巻に女医の記述を見つけ、それを役所につきつけ、医術開業試験の受験が許可されました。

 

日本初の女性医師誕生

明治17(1884)年9月、吟子34歳。

医術開業試験に挑み、見事合格、国家資格を持つ女性医師の第1号となります。

 

再婚、北海道への移住

医院を開業して5年。

40歳の吟子は、13歳年下の同志社の学生で、新島襄から洗礼を受けたキリスト教志方之善しかたゆきよしと再婚します。

結婚を機に東京を離れ、ふたりで北海道今金町に移住します。

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当時の日本は富国強兵の一環として北海道の開拓を急いでいました。

志方は北海道開拓に加わり、理想郷を建設しようという夢を抱いていたのです。

そのころには後進の女医たちも育ってきており、吟子は女医としての道ではなく、今度は開拓という新しい夢、理想郷の建設を志方とふたりで目指すのです。

 

46歳の時に、志方の姉の娘を養女にします。

吟子は家族との生活で、幸せに暮らしていたのです。

 

再び医師として活動する

北海道今金町で開拓を始めて4年。役所の検査が入り、開墾の進んでいない土地の没収が決定しました。

その結果、開拓作業が難航していた志方たちは土地のほとんどを手放すことになります。

 

明治29年、志方と吟子は北海道南部のせたな町に移ります。

今金町からせたな町は車で15分ほどの距離です。

志方は牧師としてキリスト教を広める活動を始めました。

吟子はせたな町で診療所を開きます。

 

吟子の女性への思い

明治38(1905)年、夫の志方が死去。享年42歳。

出会ってから15年。

吟子にとって家族と暮らしたかけがえのない日々でした。

その後も吟子はせたな町で過ごしますが、明治41(1908)年に帰京。本所区小梅町に開業し、晩年を送ります。

夫を亡くして8年後、吟子は養女のトミに見守られながら息をひきとります。

大正2(1913)年6月23日。108年前の今日です。

 

北海道今金町には吟子と志方ゆかりの教会があります。

吟子の熱くたくましい生き方は今も人々の尊敬の念を集めています。

吟子は男女の平等を説くキリスト教に教えに共感し、信者になったそうです。

 

吟子直筆の手帖に記されています。

「男尊女卑の風潮は、婦人が職を持たないで経済的に自立せず、そこに安住していることに原因があるのではないでしょうか。もし自分たちの本当の力を知ったなら、女性も自らの価値を悟ることができるはずです。」

 

 

 

映画『一粒の麦 荻野吟子の生涯』は若村麻由美さん主演でした。

残念ながら私は観ていません。

今も公開している映画館があるようですが、確認できません。

いつか観る機会ができたらなと思います。 

 

 

 

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