この夏は、母の初盆と北海道の義母の三回忌があります。9月には母の一周忌です。
この年齢になると、そういった行事が次から次へとあります。
法事に出ることはあっても、親しい身内の葬儀でないと「納棺師」さんのお仕事を目の当たりにすることはありません。
10年以上前に父が亡くなった時の「納棺師」さんのお仕事の記憶がありません。
当時北海道に住んでいた私は、父の最期に間に合い、その後ずっと通夜と葬儀と初七日についていたのですが、その一連の流れがほとんど記憶に残っていません。
真夏に病院に数日付き添っていたので、疲れて顔も髪もヨレヨレで、通夜の前にお顔シェービングとエステに行ったことは覚えています。
それがきっかけで、それからずっと同じ方にシェービングとエステや酵素パックをお願いしています。今現在も。
義母の時も母の時も、亡くなった後の納棺師さんのお仕事を目の当たりにしました。
ザ・ノンフィクション『おくりびとになりたくて』を視聴しました。
番組では、納棺師を目指す人たちを追っかけています。
ザ・ノンフィクションに登場する「納棺師」候補生の方々は、年齢も前職もそれぞれ。
シングルマザーの元保険会社勤務の40代の方や、元パティシエの若いお嬢さん…などなど。
身内との別れをきっかけに目指すようになった方が多いようです。
専門の学校で学び、その後「見習い」になります。
体力も気力も使うという仕事は、化粧や顔そり、着替えなど(時にはヘアカットも?)の技術以外に「死」に寄り添うという気持ちが必要であると感じます。
私と妹は、母の納棺の時に、じっとそのお仕事を見つめていましたが、今思うと仕事をする方としてはやりにくかったかもしれない。
でも見ていたいですよね。
81歳の誕生日を迎えたばかりの父の時は、病院で私も妹も大泣きしましたが、97歳で逝った母の時は、私も妹もまったく涙せず。死化粧の時に妹はちょっと泣いていたかも。臨終の時は、そばいにいた長女と甥っ子(母にとっての孫たち)はちょっと涙していました。初めての経験だったろうな。
「納棺師」という仕事は、ご遺体に接するプレッシャーから長続きしない人が多いそうです。
ザ・ノンフィクションに出演されていた新米納棺師さんは、1日5件回ることもあるほどに忙しかったそうです。
特に資格制度が設けられていなかった「納棺師」ですが、平成25年に認定資格が設けられました。
現在では「納棺師資格認定試験」に合格することで「納棺師」として認定されます。
資格といっても「国家資格」ではなく「民間資格」ですので、資格を持っていなければ「納棺師」を名乗れなくなるということではありません。
番組に出られた新米納棺師さんの「(納棺は)本当はみんな自分がやってあげたいよね。だから家族の代わりに私がやらせてもらっているという感じ。」という言葉が印象的でした。
そう語ったその納棺師さんは、それから数か月後に実父の納棺をご自身がやることになるのです。
納棺師さんがお父様と最期に会った時、お父様(北海道生まれの北海道育ち?)は病室で「ほっけのこっこが食べたい」とおっしゃってました。
ほっけのこっこは、ほっけの卵巣を煮付けた郷土料理です。
私は食べたことないな。
そのお父様は、娘さんに納棺のお支度をしてもらい、お孫さん(美容師さん)に髭を剃ってもらい髪の毛を整えてもらって旅立ちました。
とても幸せな旅立ちでした。
母の旅立ちに1滴の涙もこぼさなかった私ですが、この番組では大泣きしました。
新米納棺師さんは、実父の納棺をしたことで、遺族の気持ちに寄り添える自信がついたようです。
普段、私が直接関わることのないお仕事に従事してくださっている方々のおかげで、毎日の生活が回っています。
ザ・ノンフィクション『おくりびとになりたくて~大切な誰かと別れる時』は、7月7日㈰ 23:59までTverで視聴可能です。