山口県下松市の花岡福徳稲荷社では、毎年11月3日の稲生祭で「きつねの嫁入り」が行われるそうです。
また、新潟県東蒲原郡阿賀町津川地区では毎年5月に「狐の嫁入り行列」が行われます。
三重県四日市市海山道の海山道稲荷神社でも、毎年節分に「狐の嫁入り道中」の神事が行われます。
「きつねのよめいり」って何?きつねさんが結婚するの?
目次
「狐の嫁入り」ってどこの地方の言葉?
私は幼少期から成人になるまで、福井市→金沢市と、北陸で過ごしました。
北陸では晴れているのに雨が降っている現象を「狐の嫁入り☂」と言っていました。
でも30年以上暮らしていた北海道でその言葉を聞いたことはありませんでした。
調べると、天気雨のことを「狐の嫁入り」と呼ぶのは、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国、九州ですが、とくに関西や関西に近い福井県・石川県でよく使われるのです。
青森県南部地方では「狐の嫁取り」というとか。茅ヶ崎市芹沢や徳島県麻植郡山類では「
天気雨をこう呼ぶのは、晴れていても雨が降るという嘘のような状態を、何かに化かされているような感覚を感じだからでしょうか。
狐が嫁入り行列を人間に見られないように雨を降らしているという言い伝えがあります。
天気雨の真実
晴れているのに雨が降る現象は、雨粒が地上に届く前に雨雲が去ったときや消えてしまったとき、また離れたところで降った雨が強い風で流された場合に起きます。
梅雨の終わり頃に多くみられる現象ですから、夏の季語としても使われます。
アイヌに語り継がれる狐の物語
北海道に「狐の嫁入り」という言葉がないのはなぜでしょうか。
道民にとって、狐は化かす存在ではなく、もっと現実的に「野を駆け抜ける動物」だから?
いえ、北海道にも「狐」の物語はあります。
「キツネにつかまった日の神」
ある日、1匹の悪いキツネが日の神・チュプカムイの子をさらってしまいます。
「息子よ、帰ってきておくれ!」
涙をながして飛び回るチュプカムイ。
大粒の雨が、アイヌの村に降り注ぎます。
その頃、さらわれたチュプカムイの子、ポンチュプカムイは心優しいキツネの娘に助けられ、キツネのいじわるな試練を乗り越えます。
怒り狂ったキツネは、黒い雲となってチュプカムイに襲い掛かります。
しかし、その時。聴こえてきたのはアイヌの歌声。
落ちていくチュプカムイを天高く押し戻します。
そして、1人の青年が放った、勇敢な弓矢が、キツネを射抜いたのでした。
助けられたチュプカムイは、その役割を託すことに決めました。
息子・ポンチュプカムイを、月の神に。
そして、息子を救ってくれたキツネの娘を、太陽の神に。
こうして、長く続いた雨は止み、大地に光が戻ったのでした。