2月にプレジデントオンラインで「老人ホームは嫌」と断言した上野千鶴子氏の発言が物議を醸しました。
辛口発言の多い上野千鶴子氏。
「老人ホームは嫌」発言は、批判が多いです。
しかし「よくぞ言ってくれた」と心の中で思ってらっしゃる昭和世代もいるかもしれませんね。
2025年に「団塊の世代」の全員が75歳以上となり、国民の5人に1人が後期高齢者となります。
社会保障費は高まる一方、現役世代の社会保険料の負担がさらに大きくなるでしょう。
少子高齢化が進む中、介護ニーズは高まる一方です。
しかし介護職員は人手不足。
おまけに2024年の介護事業者の倒産は、過去最多の172件。
そんな問題だらけの介護の現場ですが、上野千鶴子氏は「私たち団塊の世代は物わかりのよい老人にはなりません。暮らしを管理されたくない、老人ホームに入りたくない、子どもだましのレクリエーションやおためごかしの作業はやりたくない。」と、ばっさり(-_-;)
上野千鶴子氏は自費で介護士を雇える資産を持っているのかもしれませんね。
手厚い福祉政策で定評のある北欧諸国では、「寝たきり老人が少ない」そうです。
自分で食事ができなくなった高齢者には無理やり食事(胃ろうとか)や水分補給などをしないで自然に看取るのが人間らしい最期の迎え方だと考えられており、そのため、長期間寝たきりになる高齢者が少ないのだといいます。
一方、日本は寝たきり高齢者が増え続けています。
私は97歳の母を自宅で看取りました。
最期1か月くらいは、1日のうちのほとんどを寝て過ごすことが多くなりました。
食事はエンシュアとゼリー、プリン、ジュースくらいでした。
亡くなる数日前は、座っていることが難しくなりました。
自宅での看取りを覚悟し、訪問診療をお願いしていました。
「入院」という選択をしなかったのは、母が97歳で十分に人生を全うした年齢であったからです。
80代であれば入院させて、「延命」を選んだかもしれません。
それが公費のお世話になるとしても。
私自身は、子どもたちに「私に延命は無用」と言ってありますが、母自身の希望は聞けなかった。
私と妹の判断で、「訪問診療」を選び、自宅での看取りを決めました。
後で妹に聞いたら、「ママはパパが亡くなる直前に病院のベッドで縛られながら点滴されている姿を見て、自分に延命はしないでと言ってたよ~」だったんだってさ。その言葉を録音しておいてほしかった。
高齢者の医療・介護には巨額の公費がつぎこまれています。
「可能な限り延命」か「死生観の見直しによる穏やかな最期」か。
自分であれば、延命は遠慮しますが、自分の親が80代以下であれば「延命」をお願いしたいと思うのは、矛盾してるかな。