10月29日㈬のNHK『あさイチ』は人気特集「わたしの台所物語」でした。

素敵な物語がいつも感慨深いのですが、今回私の心に残ったのが、千葉県の海のそばにあるマンションの11階に住む佐野文子さん。
ガス台もシンクもピカピカに磨かれたその台所は、研究者であった佐野さんの丁寧な性格がにじみ出ています。おそらく衛生面にずっと気を遣われるお仕事だったのでしょう。
佐野さんはずっと動物の病気を研究されていた元大学教授なのです。10年間で自分のための休日はたった3日だったとか。
しかし、AI技術の進化が急速に進み、21歳の若者が半年で自分の30年分の知識を超えていく現実を目の当たりにしたのです。
そう感じ、定年前に研究者を引退しました。
その後、両親が暮らしていたマンションへ移り住み、静かなひとり暮らしを始めたそうです。
お父様と一緒に出かけた潮干狩りが良い思い出のようで、今の得意料理は「アサリの刺し連」
ご近所に住む獣医師仲間が訪ねてきて、料理を囲む時間もあるとかで、それが楽しそう。
今の生活はストレスがないので、「戻ってきて幸せ」だそうです。
私より、少し年上の佐野さん。
現在獣医学部は6年制ですが、当時は4年制だったでしょうか。
80年代、私がチャラチャラ遊んでいる時代に、(当時は)男性が多かったであろう場所で懸命に戦ってきたのだろうなぁ。
そんなキャリアを潔く引退して、今幸せに暮らされている佐野さん。
長年主婦をやっていた私ですが、手の込んだ「アサリの刺し連」なんて作れません。
きっと、佐野さんはもともとが手先が器用で職人気質なのでしょう。
懸命に仕事に取り組んだこと、研究者の道を潔く引退すること、「今」を楽しむこと、すべてが素敵な生き方だと思いました。
ショールームにあるようなきれいなキッチンを眺めるのも好きですが、使い込んでいながらもきちんと手入れされているキッチンを眺めるのはもっと好きです。
あ~、私もキッチンの掃除しよう。

