我が家にはもう小さな子供がいないのですが、コロナ禍の影響で今年はすでに夏休みは終了したのでしょうか?
北海道は夏休みが短いので、今年に限らずお盆が終わると同時に夏休みも終わります。そのかわりに冬休みが長いのです。
夏休みは受験生にとってとても大切な勉強期間ですが、いかがお過ごしでしょうか。
勉強も大変ですが、親御さんは進学にむけての費用の捻出に頭を抱えていらっしゃる方もいますね。
もう1年半も前の記事なのですが、今でも検索流入にあがってくる記事があります。
記事をあげた時はさほどアクセス数はなかったのですが、地味にずっと読んでくださっている方が何人もいらっしゃるようです。
この記事です。
今日はこの記事と事件を掘り返して、奨学金について語らせてください。
目次
九州大学の研究室で起こった事件
内容を簡単に紹介いたします。
2018年9月に起こった事件です。
大学の研究室に火をつけ自らも亡くなったのは、苦労人の九州大学の卒業生でした。
福岡市東区の九州大学箱崎キャンパスの火災で亡くなった卒業生のK(46)は、2010年の退学後も常勤の研究職を目指していたが、非常勤職を“雇い止め”に遭うなどして困窮を深めた。家賃の支払いも滞り、肉体労働を掛け持ちして研究室で寝泊まりするようになった。そこに学舎の移転が重なる。「耐乏生活を強いられる」「経済破綻に直面」-。Kは親交のあった大学関係者に宛てたメールで、苦しい胸の内を訴えていた。
複数の関係者によると、男性は15歳で自衛官になったが退官し、九大法学部に入学。憲法を専攻し、1998年に大学院に進学した。修士課程を修了して博士課程に進んだが、博士論文を提出しないまま2010年に退学となった。
ドイツ語を勉強し、文献の校正ができるほどの力を付けた。生前は少なくとも県内の二つの大学で非常勤講師を務める傍ら、教授の研究補助もしていた。元教授は「授業の発表も丁寧で、論文を書く能力もあったのに」と振り返る。
2018/09/16付 西日本新聞朝刊より引用
NHKでこの事件を扱った番組をやっていたので、その感想をのべたブログを今も読んでくださっている方がいらっしゃるのです。
ブログにいただいたコメント
もう記事をだしてから1年半にもなるのに先日もコメントをいただきました。
紹介させていただきます。
「奨学金」というキーワード。
そう。
亡くなったKには奨学金という名の借金が700万円あったのです。
奨学金
私の子供たちも奨学金のお世話になりました。
無利子ではありますが、長い年月をかけて返済しなくてはなりません。
月々の支払いはそれほど多くはありませんが、これを何十年も続けるのです。
夫婦ふたりがそれぞれ奨学金返済を抱えたまま結婚したなら、家計はどうなるでしょう。
家を買うどころではありません。
できれば結婚する前に完済するのが理想です。
繰り上げ返済
繰り上げ返済の手続きはインターネットから簡単にできます。
スカラネットパーソナルにロゲインして手続きをします。
しょっちゅう開くサイトではないので、パソワードをすっかり忘れている恐れあり。
時々開いて、今現在奨学金の残高がいくらあるか確認しましょう。
振込口座の変更や住所変更の手続きもできます。
繰り上げ返済の手続きは簡単にできますが、実際に返済するのは簡単ではないですよね。
ましてや、卒業後も研究を続けていたKはとても大変だったのです。
大学はお金がかかる
あこがれのキャンパスライフ。
授業料以外にもお金がかかる
大学にかかる費用は授業料だけではありません。
独り暮らしなら生活費が当然かかってきますし、教科書代なんてびっくりするほど高くて、私は入学式にもらった書類に記載してあった教科書代の合計金額がヒトケタまちがっているのかと思いました。
今の若い人たちはスマホを駆使していますから、パソコン離れしているようですが、大学の勉強にはパソコンが必要です。
今のようなオンライン授業が主流ならなおさらです。
オンライン授業やってるから、授業料安くしてくれてもいいじゃん・・・という意見がでるのは当然でしょう。
でも大学の設備を維持していくのにもお金がかかるのです。
そこは納得せざるを得ないでしょう。
大学への進学を慎重に考える
奨学金を受ける時に、返済についてのノウハウをもっと高校生や親御さんに説明すべきだと思うのです。
私の二女は小中学生の頃、勉強が好きではありませんでしたが、「小さな頃から大学には必ず進学するものだと思っていた。」と言います。
私の長男も長女も奨学金にお世話になり、進学しました。
二女の場合は奨学金を利用しませんでしたが、希望どおり大学に進学しました。
それが現在に繋がっていますから、たとえ勉強が得意ではなかったとしても大学を卒業したことはまちがいではありませんでした。
実際、二女は大学での勉強はとても熱心でしたし、自分が選んだ学部やゼミの勉強は受験勉強よりずっと楽しかったようです。
Kからのメール
Kは決して人付き合いのない人間ではなく親しい人にメールで苦しい胸の内を明かしていました。
「月末払いの家賃を振り込もうとしましたが、金額が足りませんでした。経済破綻に直面しています」(6月1日)
3、4月はほぼ無給だったことや、専門学校の非常勤職が“雇い止め”となり、5、6月の月収は14万5千円とつづった。
「10万円借りることができました。なんとか過ごせそうです」(同月4日)
Kは同月から昼間に週4回、宅配便の仕分けのアルバイトを始めた。
昼のバイトを始める時73キロあった体重が、61キロ(3月12日)
前年12月からは夜も週4回、肉体労働の別のバイトも掛け持ちしていた。
「研究室の移転も始まっています。宝くじが当たるなどしない限り、泥沼から脱出できないでしょう」(7月27日)
この頃は夜のバイトを週6回に増やし、研究室に寝泊まりする状態だった。
「時の経過とともに、事態は悪化しています」(8月9日)
Kは大学側から研究室退去の要請を受けていましたが、出ていく様子はなく、悲しい結末を迎えたのです。
コロナ禍の今
今コロナ禍で、大学で対面で授業が行われていることはほとんどないようです。
Kのような大学や専門学校の非常勤講師をされている方の生活は大丈夫でしょうか。
困っている方は大勢いるかと思うのですが、Kのような高学歴で立派な研究を志している人が貧困に苦しんでいるという事実を想像する機会はあまりないと思うのです。
長くなってしまいました。
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。