東京大学の研究者が発表した論文で、現代の日本人1万人の遺伝情報などを分析し各県ごとに縄文人由来の遺伝的変異をどれくらい持っているか地域差を明らかにしました。
目次
縄文時代と弥生時代
今から3万数千年前、氷河期で海面が下がって、陸地が今より広がっていた時期、日本列島には現在のサハリンや朝鮮半島、台湾方面から3つのルートで人類が移り住み、後に「縄文人」になっていったと考えられます。
その後、温暖で氷河が溶けて海面が上昇し、人の流入は止まります。
次に多くの人が来たのは約3千年前から九州北部に進んだ技術や稲作文化を持つ渡来人がやってきたとされ、これが弥生時代になります。
現代日本人の多くは縄文人とこの渡来人が混血した子孫と考えられています。
現代日本人の多くは遺伝子的に1~2割が縄文人由来、8~9割が渡来人由来とされています。
県別の”縄文度”
今回東大グループは住んでいる県別で、”縄文度”=縄文人由来の遺伝的変異をどれくらい多く持っているかを明らかにしました。
東北地方や鹿児島など濃い青色の県は縄文度が高く、近畿や四国などオレンジ色は縄文度が低い、逆に言えば渡来系の血が濃い人が多いエリアということになります。
この地図には沖縄と北海道が入っていませんが、沖縄は他の県より飛びぬけて縄文度が高く、この色分けに収まらなかったとされます。
また北海道はアイヌの人たちはとても縄文度が高いと考えられますが、人口の上では明治以降に各地から移り住んだ人が多くを占めるため特徴がはっきり出ないそうです。
中国地方で島根だけが濃い青、つまり縄文度が高いというのは興味深いですね。
出雲の国はオオクニヌシの国作りの神話などがある地域でもあり、もしかすると古くから縄文系の人たちが多く住む国が実際にあったのかも?
縄文人の体格、渡来人の体格
以前から、発掘された人骨で縄文人は渡来人より背が低いとわかっていました。
縄文人の身長は、発掘された人骨などの測定から男性は平均160.24cm。
弥生人は163.23cm。
古墳時代では161.54cm。
それは狩猟生活中心の縄文人は稲作を行う渡来人より栄養状態が悪かったためと考えられていましたが、遺伝的にも違っていたということが今回の研究でわかりました。
古代人の研究は、人骨や石器などの発掘から進められるのが常識でしたが、最近は「データサイエンス」と呼ばれる、コンピューターで膨大なデータを分析して新たな知見を得るような研究が進んでいるわけです。
渡来人の血液中の物質
渡来人には、血液中の「好酸球」という免疫細胞や「CRP」という炎症に関わる物質が増えやすい変異が見つかりました。
これらは感染症から体を守る働きがある反面、喘息などアレルギーの悪化にも関わっています。
地図で渡来人由来の変異が多い地域では、現代において喘息が悪化する人が多い傾向があることも報告されています。
まとめ
人間の遺伝情報の解明は時として、差別的な考え方にもつながりがちですが、そうではなく、生命の歴史の中で育まれてきた遺伝的な多様性があるからこそ私たちは様々な環境の変化にも対応できると言えます。
我が家の場合
私の父は富山、母は名古屋。
主人は北海道ですが、先祖は四国。
では、私たち夫婦の子供はどこの県の血統なのか?
血が混じり合って、私の子供たちはデータにあてはまりませんね(笑)
ハナさんのお父さんはオシキャット、お母さんはアビシニアンです。
血が混ざっているミックス種は、丈夫といいますけどね。