一作日のこと。
自宅で、お昼ご飯にレトルトカレーをまさに今食べようとしていたところ。
ハナさんが何かを感じとり、玄関に走っていきました。
玄関に人の気配を感じ、長女が来たのだと思ったのでしょう。
ハナさんは長女が大好きなんです。
あれ?
今日は午後から来ると言ってたけど、早いな…と思っていたら。
玄関の戸を開けようとガチャガチャと音がする。
長女は鍵を持っているはずなのに、開かないのかな?
で、私がドアを中から鍵を開けて、ドアを開けるとそこには見知らぬおばあさんがびっくりした顔で立っていました。
「私、部屋まちがえた?」と言うおばあさん。
私が「何号室に行かれますか?」と聞くと、おばあさんは部屋の番号を言うのですが、それは私の家の番号ではなく、というかその番号の部屋はこのマンションに存在しません。
おばあさん「娘の名前は〇〇です。娘の部屋に戻ろうと思っていたのだけど。この部屋のはずなんだけど。見覚えがあるから。」と言いますが。
違います。この部屋は私の家です。
聞くと、おばあさんは愛知県から娘さんの家に来て数日間滞在しているのですが、娘さんは仕事で4時にならないと帰ってこないとのこと。
その間ひとりで留守番をしていましたが、ちょっとブラブラと近所を散歩されていたようです。
家に鍵もかけないで。
散歩といっても杖ついてますし、だいたい鍵も持たずにオートロックのマンションの玄関はどうしたんでしょうねぇ。
「私はどうしたらいいの?どこに帰ればいいの?わからなくなってしまったわ。」と途方に暮れるおばあさんを放っておくわけにいきません。
私は「1階に住人全員のポストがありますから📪そこで娘さんの〇〇という名字を探しましょう。」と、おばあさんを1階まで連れて行こうとしたのですが、おばあさんはかなり疲れている様子です。
おばあさん「また1階に行くの?疲れたわ。私はここで娘が帰ってくるのを待つわ。4時に帰ってくるっていうから。」
私「まだ12時ですよ。4時までまだまだですよ?1階にはベンチもあります。そこで休みましょう。」
おばあさんを励ましながら、エレベーターで1階に行き、おばあさんをベンチで休ませます。
そして私はポストで〇〇という名前を探しました。
ありました。
〇〇という名前は私の家の隣りの隣りでした。
近所の方の名前すら知らないという、都会のマンションあるある。
「ありましたよ、〇〇さん。さぁ、一緒に行きましょう。」とまたおばあさんを連れて、エレベーターで上にあがります。
〇〇さんは表札が出ていて、私の家の隣りの隣りに確かにありました。
〇〇さんのその家、鍵はかかっておらず、おばあさんはホッとした様子で家の中に入っていきました。
愛知県の若松から来たのだと連呼するおばあさん。
調べてみると若松は愛知県刈谷市でした。
私が「愛知県まで新幹線で帰られるのですか?」とたずねると、おばあさんは「いいえ、タクシーで帰るの。孫が明日迎えに来てくれるの。」と言っていました。
いや、タクシーで帰るのは無理だろ。お孫さんが車を運転して、迎えに来てくれるのかな。
どうぞ無事に愛知県へ帰られますように。
いつまでもお元気で。
おばあさんは90歳だそうです。
「お若く見えますね。」と言ったら、おばあさんは耳が遠いらしく「えぇ、若松から来たの。」と言ってました(笑)
マンションの中だからよかったけど、こうやって町で迷子になって保護される高齢者の方がいるんだろうな。