今年度は全国のクマによる人身被害が過去最悪のペースだそうです。
北海道で60頭以上の牛を襲った「OSO18」を駆除した釧路町のハンターに抗議が相次ぎ、住宅地付近に出没していた母グマを駆除した札幌市には約650件の批判が寄せられたといいます。
今月5日にツキノワグマを駆除した秋田県美郷町にも抗議が殺到したのは記憶に新しいところです。
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秋田県のクマ
秋田県では今年度52件の人身被害が発生。
これは去年の8倍以上にも上ります。
秋田県の自然保護課は「クマは臆病な性格で、人間の存在に気づけば向こうから遭遇を避ける」と呼び掛けていました。
しかし、今年のクマは例年にはない特徴があるといいます。
人を襲撃したり、猟師がクマに向け発砲したところ、猟師に反撃してきたりと、異常な攻撃性を見せています。
昨年は、木の実がいっぱいなったので、子どもがたくさん生まれたらしく、今年各地で親子グマが目撃されています。
美郷町の作業小屋に長時間立てこもっていたクマも親子でした。
それだけに、「なぜ殺したのか。」という苦情の電話が殺到したのでしょう。
ほとんどが県外からの苦情だそうです。
北海道でも
今夏、北海道で牛66頭を襲ったヒグマ「OSO18」が駆除されましたが、駆除したハンターに抗議が殺到したそうです。
北海道は公式エックス(旧ツイッター)で理解を求める異例の投稿をして反響を呼びました。
ヒグマ「OSO18」
「OSO18」の出現は、4年前に遡ります。
2019年7月16日、北海道標茶町オソツベツで乳牛が「OSO18」に襲われました。
幅18㎝の大型前足の跡を残す「OSO18」はその後何度も牛を襲います。
「OSO18」の特徴として
- 人間の前に姿を見せない
- 罠を見抜いている
- 食べるために牛を襲うのではない
被害は標茶町と厚岸町にまたがり、2019年~2022年で31件、65頭にのぼります。
賢い「OSO18」が、今年7月に、人前に姿を現し、気力を失ったように地面に伏せていたところを、初心者マークのハンターにあっさりと撃たれます。
胃の中はからっぽだったそうです。
若きハンター
クマの駆除に関する報道のたびに全国で反対の声が上がります。
ハンターの高齢化が問題視されていますが、24歳の北海道三笠市の農林課に勤務するハンターは言います。
「引き金を引くときは怖い。弾を撃って外せばクマに反撃される。やるかやられるかの状況です。自分の技術次第ですが、弾が命中すればクマは一瞬で死ぬので、少ない痛みで楽に逝かせてあげられます。」
子どもの頃から動物愛護派の彼は名古屋市生まれ。
北海道の酪農学園大学で生物多様性保全について学び、卒業後に鳥獣対策専門員として三笠市に採用されました。
命がけの仕事です。
安全な場所で暮らし、美味しい牛乳やチーズ、牛肉を食べながら、そんなハンターを批判するのはどうでしょうか。
クマの生息数
ヒグマの推定生息数は1990年度には5200頭でしたが、2020年度には1万1700頭と、30年間でほぼ倍増しています。
北海道は、残雪期の捕獲を奨励する「春グマ駆除」を1990年に廃止していますが、人里への出没を抑えるために今年から「春期管理捕獲」を許可しています。