暮らしと勉強、猫と一緒に~Bettyのブログ

実家の母を介護するために北海道から引っ越してきました。その介護も終わり、片づけと大学通信教育部の勉強と猫と。そんな雑記ブログです。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

金沢三文豪のひとり、泉鏡花

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作家泉鏡花いずみきょうかは、1873(明治6)年11月4日に金沢市下新町で生まれました。

今年は生誕150周年になります。

泉鏡花は、室生犀星徳田秋声と並ぶ「金沢三文豪」のひとりです。

泉鏡花記念館の父子像

 

目次

 

幼少期における作品の影響

泉鏡花は加賀象嵌ぞうがんの彫刻師を父として、そして能楽師の娘を母として、金沢の地で生まれ育ちました。

しかし、母親は二女やゑ出産直後に産褥熱のために20代で逝去し、鏡花は幼心に強い衝撃を受けます。

幼少期における故郷金沢や母親の思い出は、後年に至るまで鏡花の愛惜あいせき措く能わざるものとなり、折りにふれて彼の作品の中に登場します。

愛惜=大切にし、手放すことを惜しむこと、あたわわざる=そのままにしておけない…で、愛惜措く能わざるでは「大切にし手放すことはできない」という意味か?すみません、私の個人的解釈です。間違ってたらごめんなさい。日本語難しい。

 

泉鏡花の世界

泉鏡花は上京し、以前よりファンであった尾崎紅葉の門下に入り、作品を発表し、その数年後には『高野聖』を完成させるのです。

『外科室』『歌行燈』『日本橋』『天守物語』などの傑作を生みだし、幻想文学の世界のみならず、舞台芸術や映像作品をはじめとするさまざまなアートで表現され、今なお多くの人々を魅了しています。

 

婦系図

若き日、鏡花は神楽坂の芸妓と恋をしますが、師匠の尾崎紅葉はこれを許さず「女を捨てるか、師匠を捨てるか」とまで言われ、鏡花は離別を決意、この体験が『婦系図』の湯島天神の場の下敷きになっているといいます。

紅葉の没後、泉鏡花はその芸妓(すず)と結婚し、夫婦仲はとてもよかったそうです。

 

映画『夜叉ヶ池』

私は10代の終わりに泉鏡花原作の映画『夜叉ヶ池』を観ました。

主演は坂東玉三郎氏。

その映画は長く封印作品となっていましたが、40年以上の時を経て、坂東玉三郎氏と監督篠田正浩氏の全面協力による監修のもと、4Kデジタルリマスター版が完成しました。

 

 

潔癖症

泉鏡花は胃腸病のため逗子に静養していたことがあり、これがきっかけとなったのか、極度の潔癖症になりました。

生ものは決して食べず、貰い物のお菓子をアルコールランプで炙って食べたり、お酒はぐらぐらと煮立つまで燗をつけました。

手づかみでものを食べるときは、掴んでいた部分は必ず残し、外出時の着衣は帰宅後すべて捨てていたという逸話もあります。

21世紀のコロナ禍の不潔恐怖症と通じる部分があるように思えます。

 

泉鏡花記念館

金沢市の鏡花の生家跡に、泉鏡花記念館があります。

作品とその生涯、著作の装幀や日常生活にも表れた独特の美意識にふれることのできる展示を楽しめます。

江戸文芸の影響を深く受けた怪奇趣味と特有のロマンティシズム、好き嫌いのある作風かとは思いますが、泉鏡花は今なお人気の高い作家です。

 

館内は撮影禁止です。

 

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金沢に「文豪」が多いと言われるのは、そのイメージを自治体や文化・観光分野の関係者が積極的に後押しした影響もあるでしょう。

 

しかし、江戸時代に加賀藩が知識や文化を大切にしていた背景が根っこにあるかもしれません。

「加賀は天下の書府」と新井白石に言わしめるくらいですから。

「書府」とは『日本国語大辞典』(小学館)によると「書物を納めておく蔵」のこと。今でいう「図書館」のような感じでしょうか。