UーNEXTでドラマ『あにいもうと』を視聴しました。
原作は室生犀星。
脚本は山田洋二氏。
プロデューサーは石井ふく子氏。
主演は大泉洋さんと宮﨑あおいさんです。
目次
ドラマ『あにいもうと』
今回視聴したのは、2018年TBSの特別企画ドラマです。
私は原作を読んでいないのですが、ドラマだけを見ていると、完全に山田洋次ワールド。
1972年のドラマ『あにいもうと』も山田洋次氏が脚本を書かれていますが、その時の主演は渥美清さんと賠償千恵子さんですから、それこそ『男はつらいよ』の世界でしょうね。見てないけど。
1972年ならともかく、2018年を舞台にするなら、ちょっと古めかしい印象を受けました。私個人の感想です。
室生犀星
「ふるさとは遠きにありて思ふもの…」の詩で知られる室生犀星。
室生犀星は、加賀藩の足軽頭だった小畠家の小畠弥左衛門吉種と、その女中であるハルの間に私生児として金沢で生まれました。
生後まもなく生家近くの雨宝院(真言宗)だった室生真乗の内縁の妻ハツに引き取られ、ハツの私生児として戸籍に登録されました。
その後7歳の時に住職の室生家に養子に入ります。
私生児として生まれ、実の両親の顔を見ることもなく、生まれてすぐに養子に出された不遇の生い立ちをのりこえて描かれた犀星文学は、故郷の山河に対する深い思いや、小さな命、弱いものへの慈しみの心があふれ、人生への力強い賛歌ともなっています。
犀星は養母(養育料で享楽しようとするような人でした)により高等小学校を3年で中退させられ、金沢地方裁判所に給仕として働きだします。
そこで裁判所の上司に手ほどきを受け、文学への道を歩み出すのです。
文学仲間との交流は広く、とくに芥川龍之介の死には大変ショックを受けました。
芥川龍之介や堀辰雄が東京帝国大学で、萩原朔太郎が慶應義塾大学予科(中退)で学んでいるのに対し、高等小学校中退という学歴と生い立ちの不遇は犀星の生涯に影響を与えました。
しかし、芥川龍之介より堀辰雄より萩原朔太郎より、ずっと長生きした犀星は1962年3月26日に東京都の虎ノ門病院で亡くなります。
62年前の今日です。
室生犀星記念館
平成14(2002)年に開館しました。
犀川大橋から桜橋までの両岸の道路は「犀星のみち」と呼ばれます。
野生的な人間の生きる姿を描いた『あにいもうと』は犀星文学の転機となりました。
原作、読んでみる?
「杏っ子」も読んでみたいね。