今期のNHK朝ドラ『虎に翼』が面白くて、ハマっています。
主人公寅子(伊藤沙莉さん演)は、女性初の弁護士三淵嘉子さんがモデルです。
花岡悟(岩田剛典さん演)というイケメン大学生が気になるところです。
登場した時は、あまりに「いい奴」すぎて、逆にうさん臭かった(笑)
花岡悟のモデルは、
ドラマと実在のエピソードは異なる場合があるかもしれませんが、史実がネタバレになる可能性もありますので、そこはご容赦ください。
目次
山口良忠という判事
私は東京区裁判所の経済事犯専任判事であった山口良忠のことを、昔から何度も母から聞かされていました。知り合いでも何でもないけど。
山口良忠は1913年生まれ。寅子のモデル、三淵嘉子さんは1914年生まれ。
関係ないけど、母は1926年生まれ。
ドラマでは花岡悟は明律大学(モデルは明治大学)で学んでいますが、山口良忠は京都帝国大学を卒業しています。
山口良忠は、卒業後判事となり、食糧管理法違反の事案を担当し、闇米の所持に関わる被告人を担当していました。
そう、太平洋戦争真っ只中とその終戦後。この当時は配給される食べ物だけでは栄養が足りず、闇米を食べなければ生きていけない状況でした。
1946年に東京区裁判所の経済事犯専任判事となった山口は、その立場上、闇米に口をつけなくなります。
配給された食べ物は、ほとんどを自分の子供に与え、山口とその妻は、ほぼ汁だけのお粥をすすっていたといいます。
見かねた親戚や友人などが食料を送ったりしますが、それも拒否したそうです。
生き延びるため、自ら畑を耕し、野菜を栽培などしますが、だんだん栄養失調になっていきます。
1947年に、地裁の階段で倒れ、最後の判決を書いたのち、33歳で亡くなります。
栄養失調に伴う肺浸潤(初期の肺結核)でした。
参考文献 京機短信
http://wattandedison.com/yamaguchi_yoshitada.pdf
判事の餓死が日本に与えた影響
山口の死が、朝日新聞で報道されると、日本中を震撼させます。
私の母が山口良忠について知っていたのも、その報道によるものです。
戦中戦後日々の食料に困っていた日本人のひとりであった母も、その事実がよほど衝撃的だったのでしょう。
私は幼い頃から、この話を何度も聞かされました。
『暮らしの手帖』編集代表であった大橋鎮子氏(NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』のモデル)は、山口の餓死に衝撃を受けたために、自分の家でとれた卵を40~50個集めた上で持参して、最高裁判所の当時最高裁長官だった三淵忠彦(三淵嘉子氏の夫の父親)に手渡しています。
その卵は病気で休んでいた裁判官たちに配られて、裁判官たちの命を救ったといいます。