今NHKBSプレミアムで毎朝『マー姉ちゃん』を放送しています。
1979年放送です。
初々しい熊谷真実さん(松田龍平翔太兄弟の伯母さんですね)や田中裕子さん、けっこう台詞噛んでるんですけど(笑)当時はそれが許されたんでしょうかね?
脚本は小山内美江子さんですが、台詞がとても長いように思います。
でも新人ながら、インパクト十分で、とても魅力的です。
そのドラマを毎朝楽しみながら、気になる本を購入いたしました。
この先の記事には、本のネタバレが多く含まれます。
また、本を読んでの、長谷川家の史実も語らせていただきますので、その点ご注意ください。
『マー姉ちゃん』
朝ドラ『マー姉ちゃん』は、漫画『サザエさん』の原作者長谷川町子一家の物語です。
放送当時は私は高校生で、ビデオ機器もなかったために、平日は視聴することができませんでしたが、毎週土曜日の朝に観るのを楽しみにしていました。
また、ドラマが戦後になり『サザエさん』を売り出す話になる頃には、私は夏休みに突入しており、毎日観ることができました。
面白かったのです。
二女町子が『サザエさん』を描き、長女毬子(ドラマではマリ子)がそれを売り込むのです。
また藤田弓子さん演じる母親が強烈で、一家の柱になっています。
演じていらした女優さんたちはとても仲が良く、今でもたまに集まっているのだと藤田弓子さんが再放送にあたって語っていらっしゃいました。
ドラマと史実
ドラマ『マー姉ちゃん』は、『サザエさんうちあけ話』が原作ですが、あくまでもドラマであり、いろいろ創作されているのだろうと思っていました。
しかし細部にわたって、史実どおりであることがわかります。
長女毬子が1週間の結婚生活で、旦那様を戦地へ送り出しその後インパール作戦にて亡くしたこと。
長野へ疎開するつもりでいた一家が、知人からの誘いで、急遽故郷の福岡への疎開に変更したこと。
福岡では町子は漫画を描くことより、野菜作りに熱中したこと。
工藤美代子著『サザエさんと長谷川町子』によると、ドラマ内のエピソードは大きな出来事も小さな出来事も、かなり史実どおりなのです。
そして、目が大きく華やかな顔立ちの美人である長女毬子、目が細いが若く見え漫画家仲間から「きれいだ」と褒められていた町子、細面で鼻筋がスッと通った楚々とした美人の末っ子洋子…と、演じる女優さんたちが、実際の長谷川三姉妹と似ていると感じます。
キャスティングにあたって、そのあたりも考慮したのでしょうか。
漫画『サザエさん』
磯野一家と長谷川一家
余談ですが
長谷川家のその後
今日の『マー姉ちゃん』の放送で藤田弓子さん演じる母親の「用賀に500坪の土地を買いました。そこを畑にします。」という台詞がありました。これは史実だったわけです。
ドラマは今まだ昭和20年代ですが、昭和50年代になって、その用賀の土地に、新しい豪邸を建てることになったのですね。
それまでの家は桜新町の豪邸で、母屋以外に三女洋子さん一家が暮らす離れがありました。
そして、用賀に新築した豪邸にもやはり母屋以外に離れがありました。同じ敷地内に町子の姪長谷川隆子(たかこ)さんが結婚していたので、その若夫婦が住む家。
もう1軒、三女洋子さんとその娘さんが暮らすための家も建てられました。
しかし洋子さんはその家に住むことを拒否しました。
「自由がほしい」というのがその理由でした。
洋子さんは、新居に引っ越すことを拒み、桜新町の家に残って暮らすことを望みます。
姉の毬子さんと町子さんは激怒します。
こうして姉妹は決裂しました。
平成4年に町子さんが亡くなります。享年72歳。
その20年後に毬子さんが亡くなります。享年94歳。
存命中に、洋子さんと仲直りすることはありませんでした。
大正14(1925)年生まれの洋子さんは現在97歳でしょうか。
長谷川町子さんの姪、長谷川隆子さんは「長谷川たかこ」の名前で「長谷川たかこのパリのふつうの生活」というブログをパリから発信していらっしゃいます。