今はマンションはもちろんのこと、戸建ての家であっても玄関はそれほど広くないと思います。
しかし、昔の家は玄関が広かった。
私の祖母宅は、父方であっても母方であっても、それはそれは玄関が広く、玄関だけでも広いのに、その玄関に続く6畳ほどの和室には、何も家具が置かれておらず、何のための部屋なのか、幼い私にはよくわかりませんでした。
たぶん、それは来客に対応するため。
来客を客間まで通さなくても、その玄関に続く和室で簡単なお茶などだしながら、おしゃべりするのです。
明治から昭和まで訪問客はとても多かった。
今では、様々な連絡方法が選択できますが、電話が普及する以前ならば、手紙か、あるいは直接会うより手段がないのです。
そんな時代であれば、訪問客への対応は大きな問題でした。
昔はSNSなどなかったわけで、人とのコミュニケーションは、娯楽のひとつではないか、昔の人はむしろ訪問客を歓迎していたのではないか、と私などは思いこんでいたわけですが、そうとばかりは言えないようです。
気心知れた友人や親戚であればともかく、そうでない訪問客に辟易していた人は明治時代から存在していました。
で、夏目漱石などは殺到する訪問者に対処するために面会の日を木曜日と定めて、木曜会として有名でありました。
この漱石のやり方は簡易生活(=ミニマリスト?)のテクニックの1つであると提唱するのは、山下泰平氏。
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幸田露伴も訪問客に悩んだ1人です。
その話はまた明日。
コロナ禍がきっかけとなり、テレワークが普及した現代。
玄関を広くするよりは、仕事場を広くしたいという方が多いですよね。