6月10日㈯に放送されたNHKスペシャル「失われた時を超えて~認知症家族の3年~」を見ました。
コロナ禍、施設や病院では感染拡大を防ぐため、面会を制限、家族どうしの直接の触れ合いが絶たれたまま時間を重ねることになりました。
大きな影響を受けたのは認知症の家族です。
それまで、周囲の人々は、認知症の進行を少しずつ受け入れながら時を重ね、それぞれの家族の形を築いてきました。
その時間が失われた時、家族は認知症の人のために何ができるのか。
番組の中心は特別養護老人ホームで暮らす重度認知症の妻と、そのものと通い続ける旦那様です。
旦那様は牧師さん。
それまで、妻との時間を大切にしたいと施設に毎日通っていた旦那様でしたが、コロナ禍で日常は一変しました。
感染のリスクを減らすため、会うことは厳しく制限されました。
コロナ禍の3年間で、妻の症状は進行し、食事がうまくとれなくなり、体重が10㎏ほど減ったそうです。
歩くことができなくなり、寝ていることも多くなりました。
今は週に1度面会ができるようになりましたが、旦那様が語りかけても返事はほとんどありません。
旦那様の言葉で「妻に自分のことを忘れてほしくないという思いはあるけど、病を持った妻にそれを求めるのは酷なことやと思いました。」というのが、印象に残りました。
自分を忘れないでほしいという思いを認知症患者に強制しない。
63歳という年齢…
私だってもう目の前の年齢じゃないですか。
私は今、96歳の母を介護していますが、私だって認知症の発症を心配する年齢にさしかかっているのです。
先週、母をショートスティ先の施設へ迎えに行った時。
たまたまロビーで窓越しに面会している家族と入居者様に遭遇しました。
ご家族は「元気にしてる?」「ごはん食べてる?」といったような質問をされるものの、入居者様は「うん」「うん」と返事して、「話すことないねぇ。もう部屋に帰るわ。」とあっさり面会終了💦
やはり直接部屋に行って面会していた頃とは、勝手も違うのでしょう。
番組では、他の家族の様子も映されていますが、娘のことをすっかり忘れている入所様、面会のあとに涙する入所様…といろいろでした。
窓越しではなく、同じ空間で娘さんとお孫さんと面会できた入所様は2年ぶりに会えたそうですが、お孫さんをすぐには認識できませんでした。それでもすぐにわかり、ご家族も入所様も嬉しそう。
番組は母と一緒に視聴しましたが、母は自分のことを認知症だと思っていないので「大変ねぇ。」と他人事でした(^^;
5月8日に5類へ移行された新型コロナウイルス。
どうか、このままフェードアウトで人類から消えてくれるか、特効薬が開発されますように。