暮らしと勉強、猫と一緒に~Bettyのブログ

実家の母を介護するために北海道から引っ越してきました。その介護も終わり、片づけと大学通信教育部の勉強と猫と。そんな雑記ブログです。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

映画「銀河鉄道の父」

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U-NEXTで、映画「銀河鉄道の父」を視聴しました。

宮沢賢治役に菅田将暉さん。

その父親役に役所広司さん。

父親の視点からの物語になります。

 

 

ちょっとだけネタバレあります。

ご注意ください。

宮沢賢治は、家業の古着屋を嫌っており、盛岡高等農林学校へ進学します。その頃に『漢和対照 妙法蓮華経』を読み、感銘を受けたとされます。

 

映画「銀河鉄道の父」で、賢治は学校を中退したいと申し出て「浄土真宗は嘘偽りの宗教です。南無阿弥陀仏と繰り返せば極楽往生だなんて、そったらもん、人間を堕落させるだけじゃないですか。」と言い、父親と大喧嘩をする場面があります。

父の政次郎は浄土真宗の篤信家でした。

父親は「さっさと家を継いで、子どもを作れ!」と怒るのですが(今ならハラスメントだ)、賢治は「できねぇ!」と叫びます。

それが、「子どもができない(結婚する気はない)」ということなのか、「(自分は)何もできない」ということなのか。

 

宮沢賢治は、生涯独身でした。

中学を卒業した直後発疹チフスの疑いで入院するのですが、その病院の看護婦さんに思いを寄せ、結婚したいとまで考えますが、若すぎるのを理由に両親に反対されます。

その後、農学校教員時代には見合いの話がいくつも持ち込まれますが、賢治は頑として受け付けませんでした。

見合い相手の女性は「(賢治は)結婚について全く眼中にない様子だった」と回想しています。

農林学校を卒業し、花巻に帰省する際、友人に「私の命もあと15年はありません。」と語ったといいますが、本当にその15年後の昭和8(1933)年に賢治は亡くなってしまいます。

今年は宮沢賢治没90年になります。

 

何度か大病を患い、妹を結核で亡くしている賢治が「できねぇ!」と叫んだのは、自分の命の短さをどこかで察していたのでしょうか。

 

映画は、父親としての心情が中心になりますので、賢治の苦悩や作品の背景、生き方の模索などは深く追求はされていません。

役所広司さん、菅田将暉さん、妹役の森七菜さん、みなさんの演技は素晴らしい。

 

私個人の希望としては、保阪嘉内と出会った盛岡高等農林学校時代など、若き日の宮沢賢治の姿を描いた物語が見たかったです。

保阪嘉内は「銀河鉄道の夜」のカムパネルラのモデルであると考える研究者もいます。

 

 

 

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宮沢賢治の世界は、賢治の裕福な育ちと郷土の農民の境遇とのギャップが大きく影響しており、また幼い頃から親しんだ仏教、妹トシの死なども創作活動に関わりがあるのでしょう。

銀河鉄道の夜」などは、キリスト教的な救済信仰もあり、全人類への宗教的寛容な考え方があるともいえます。