暮らしと勉強、猫と一緒に~Bettyのブログ

実家の母を介護するために北海道から引っ越してきました。その介護も終わり、片づけと大学通信教育部の勉強と猫と。そんな雑記ブログです。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

吉村昭『羆嵐』

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 小さな暮らしへ
にほんブログ村

今年は、クマの被害が全国各地でありました。

その対処において、動物愛護の視点からの食い違いなどもあり、たびたびネットニュースで話題になることがありました。

 

www.betty0918.biz

 

日本史上最悪の熊事件と呼ばれる「三毛別さんけべつひぐま事件」をご存じでしょうか。

 

目次

 

小説『羆嵐

吉村昭の『羆嵐』は大正4年12月に起こった北海道天塩山麓の開拓村でのひぐまによる事件を扱ったドキュメンタリー小説です。

内地の熊が最大のものでも三十貫(20㎏あまり)程度であるのに、羆は百貫を超えるものすらある。また内地の熊が木の実などの植物を常食しているのとは違って、羆は肉食獣でもある。羆嵐』本文より

 

 

三毛別羆事件

事件のあった北海道三毛別は、現在の苫前町三渓です。

 

大正4(1915)年12月9日から14日にかけて、1頭のヒグマによって死者7人、負傷者3人をだした熊害事件です。

12月9日、10日に民家を襲ったヒグマを追って、北海道庁警察部(現在の北海道警察)が動き出したものの、仕留めることができず、猟師の山本兵吉に依頼することとなります。

12日からの3日間で投入された討伐隊員は官民合わせてのべ600人だそうです。

14日、討伐隊一行とは別行動で山に入った山本はヒグマを発見し、20mという至近距離で発砲し、ヒグマを絶命させます。

108年前の今日です。

 

熊を射殺し、山から集落に下して来る時、にわかに空が曇りはじめ雪が降り始め、やがて激しい吹雪となります。

この天候の急変を村人たちは「熊嵐(羆嵐)」と呼んだそうです。これが吉村昭氏の小説のタイトルとなりました。

 

鬼滅の刃』との関係

鬼滅の刃』はフィクションです。

しかし、舞台は大正年間であり、主人公炭治郎の父が9尺(2.7m)の巨大なクマと闘ったこと、また鬼滅の刃・外伝には「穴持たず」のクマが登場することなどから、三毛別羆事件も作品のモチーフになったのではないかと考察するファンもいます。

「穴持たず」とは、冬眠(冬ごもり)しないクマのことで、三毛別羆事件のヒグマもそうです。

 

 

猟師(マタギ)となった少年

大川春義氏は、三毛別羆事件当時7歳であり、事件のあった三毛別区長の息子でした。

彼は事件の数少ない目撃者の1人でした。

同事件の犠牲者の仇を討つため猟師となりました。

三毛別羆事件のヒグマを仕留めた山本兵吉に師事したこともあり、生涯にヒグマを100頭以上仕留めました。

1985年12月9日、三毛別羆事件の70回忌法要が行われた際、76歳の大川氏は講演の壇上に立ちますが倒れてしまい、そのまま亡くなります。

健康そのものであった大川氏が事件の仇討ちとしてヒグマを狩り続けた末に、事件当日に急死したことに因縁を感じた人も多いそうです。

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 小さな暮らしへ
にほんブログ村

 

ドキュメンタリー小説『羆嵐』は、熊の残忍性があり、その描写は苦手な方が多いかと思いますので、お薦めはできません。

私自身、本を購入したのは数年前なのですが、読まずにそのまま放置していました。

今年のクマによる被害の多さに、ようやく読み出し、イッキに読み終えました。

 

www.betty0918.biz