先週末の夜、NHK総合で、「ストーリーズ」事件の涙「たどりついたバス停で~ある女性ホームレスの死~」を放送していました。
ちきりん(id:Chikirin)さんが最後の30年をどう生きるか - Chikirinの日記で紹介してくださっています。
放送はNHKプラスで5月8日㈯午後11時9分まで観ることができます。
目次
ある女性ホームレスの死
渋谷のバス停留所で、ホームレスの女性が亡くなりました。
昨年11月の事件ですから、記憶にある方も多いと思います。
女性が亡くなった時の所持金はわずか8円でした。
彼女の生活
当時64歳の彼女は昨年の春ころからホームレスになりました。
それまで試食販売の仕事をしていたのですが、短期契約のため生活が不安定で家賃滞納のため、アパートから出ざるを得なくなりました。
ネットカフェなどで寝泊まりしながら仕事をしていたものの、コロナの影響で仕事がなくなり、バス停で生活するようになったのです。
彼女の家族
彼女のお母様はご存命です。そして彼女には弟がいました。
亡くなった時の所持品の中にお母様の施設と弟さんの連絡先が記載されたカードがありました。
彼女は弟には頼ることをせず、ここ数年音信不通だったそうです。
なので、弟さんは彼女がホームレス暮らしをしていることを知りませんでした。
彼女の生い立ち
弟さんの話によると、彼女は地元の短大を卒業後アナウンサーを目指していたそうです。
その弟さんが所持していた、24歳の彼女の写真。
華やかな赤いドレスを着ている彼女はとても可愛らしい顔立ちでした。
アメリカに住む叔父を訪ねた時の写真だそうです。
決して不遇の環境ではなく、友人もたくさんいて、短大卒業後は劇団に所属し、ミュージカルや舞台に出演していました。
結婚式の司会などの仕事をして、アナウンサーになるべく教室にも通っていました。
「人に迷惑をかけたくない」強い女性
夢に向かって突っ走っていた彼女。
そんな彼女が離婚を経験し、職を転々とし、誰にも頼らず独りで生きていくことになった。
仕事がなくなっても生活保護の申請をしなかったのは、親族に迷惑をかけるのを避けたかったからかもしれません。
生活保護を受給するにあたって、親族に連絡がいくことがあります。
バス停で寝泊まりしていましたが、昼に彼女の姿はありませんでした。
誰もいなくなる夜になると、バス停のベンチで座ったまま寝ていたのです。
11月の夜に。
固く奥行きのないベンチで。
昼に姿を現さなかったのは、バスを待つ人たちに迷惑をかけたくなかったから?
弟さんは言います。
「姉は自立心があり、強い女性だった。自分を頼ってほしかった。疎遠にしていたことを後悔しています。」
助けられなかったのか
彼女を死に追いやった男性は、「(路上生活をしている彼女が)邪魔だった。」という理由で、彼女を石とペットボトルの入った袋で殴ったのです。
働く意志が十分にあるのに、働き場所をコロナに奪われた彼女。
キャリーバッグをずっと所持していて、その中に衣類があり、ホームレスとは思えないきちんとした身なりだったそうです。
寒い11月、上着や手袋、マフラーなどを渡そうとした人もいましたが断ったという話もあります。
たぶん彼女は、施しを受けるより、自分の力で生活できる手段が欲しかったのです。
オリンピック開催も大切かもしれません。
でもその前に行政がやるべきことは何でしょうか。
今回のNHKの番組で考えさせられましたが、結局番組でも問題提起をするだけで、解決への道はないのです。
彼女は私より少し年上ですが同世代です。
私も演劇をしていた時代があり、彼女のように劇団に所属し舞台をやってみたいと夢見ていた頃もありました。
偉そうに番組の内容について紹介させていただきましたが、結局私だって何もできません。
医療現場では人が足りないのに、仕事をしたくてもできない人がたくさんいる今の日本は、どうやって立て直していくべきなのでしょうか。