ハナさんは、長女が出勤する朝7時までは、長女の部屋にいますが、長女が出勤してしまうと、暖かい太陽の光を求めて、南向きの母のいる部屋へ行きます。
母は朝8時頃、ベッドから起き上がりますが、ハナさんの三つ指ついた姿を見て、「まぁ、私を待っててくれたの?可愛いねぇ。」と声をかけます。
そして口癖のように「私は猫は大っ嫌いなの。」と付け加えて。
「え?猫嫌いなの?」
そうなんだって~。
おばあちゃん、猫嫌いなんだって~。
ハナちゃんのこと「可愛い、可愛い」って言ってくれるのにね。
わけわかんないでしょ、この94歳。
母の言動、極端な食べ物の好き嫌い、数々の思い込み、そういったことをひっくるめて、「認知症」だけでは片づけられない部分があると妹が言う。
専門家である妹は「私はずっとそう思ってたよ。」と。
なるほど。
そうか。
そうだったのか。
認知症の母に優しくできない私は、時折声を荒げてしまう私は、認知症以外の「何か」とも戦っていたのか。
なんだか、とっても気持ちが楽になりました。
以前住んでいた近所のおじいさん、娘さん家族と暮らしていましたが、認知症が出てからは、近くの特定のスーパーで品物をお金を払わずに持ち帰ってしまうことがしばしばありました。
もしくは持ち帰る前に現行犯で見つかったり。
娘さんはそのスーパーの店長さんに、その場合は連絡をください、支払いに行きます、とお願いしていました。
店長さんも理解ある方だったのでしょう。
そういった時期は長く続くことなく、おじいさんは亡くなられましたが。
「もっと楽~に生きましょ♡」
そうね。
ハナさん。
あなたのように。
寒くなってくる季節。
この時期の朝の柔らかな日差しが好きです。
北陸、北海道と、寒い地方で長く暮らした私は、暖かい春より寒い季節の方が好きかもしれません。
部屋に差し込む陽ざしを浴びていると気持ちも優しくなれます。
猫はね、食べて寝て。
そして遊んで寝て。
毛づくろいして寝て。
それだけで幸せなの。
下僕をもそれだけで幸せにしてしまうの。