原作は芥川賞候補にもなった河林満の小説。KADOKAWAから2023年に出版されています。
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主人公岩切(生田斗真さん演)は市役所の水道部に勤め、水道を止める「停水執行」を担当しています。
父親は出て行ったっきり帰ってこない。
母親はたまに来て少しのお金や食料を置いていくだけ。
2人きりで過ごす姉妹の家は水道料金滞納のため、停められてしまうのです。
目次
小説『渇水』
原作である小説『渇水』(短編)の初版は1990年です。
『渇水』は実在の事件ではありません。
しかし私は『渇水』の内容、そして小説が1990年初版ということで、1880年代に札幌市で起こった2つのシングルマザーの事件を連想してしまうのです。
電気を停められてローソクで生活
1984年4月。
火事の時、母親は働きに出ていました。
母親が衰弱死
1987年1月。
市営住宅で、30代の女性が栄養失調で衰弱死します。
やはり札幌市の白石区でした。
女性には3人の子供がいました。
この家のガスは料金滞納により停められ、寒い札幌市の冬なのにストーブの灯油もすでにありませんでした。
彼女は離婚後子供たちのために懸命に働きました。
それでも一家の生活費を稼ぐのは難しいので、生活保護を受給していました。
しかし、彼女が正規職員であったために、生活保護は打ち切られました。
そのうち彼女は体調を崩し、仕事を辞め、寝込むことが多くなりますが、地区担当のケースワーカーは「まだ若いのだから働きなさい」と言うばかりでした。
わずかなお金で買う食料はすべて子供たちに与え、自分は水だけで飢えをしのいだ彼女は、ケースワーカーの面接から2か月後に遺体で発見されるのです。
映画『渇水』
映画『渇水』の評価は、分かれています。
一致しているのは、姉妹を演じる子役の2人が素晴らしいということ。
内容に関しては「なぜ児童相談所にすぐ連絡しないのか」「リアリティがない」など。
似たような映画では柳楽優弥さんが子役だった頃の『誰も知らない』を思い出します。
『誰も知らない』は1988年の巣鴨子供置き去り事件がモデルとなっています。
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