『NHKスペシャル』で2011年から不定期に放送されていた『未解決事件』がこの秋から土曜日の22時の枠で単独の新シリーズレギュラーになりました。
再現ドラマとドキュメンタリーを組み合わせた番組です。
11月1日㈯の放送では26年前の名古屋の殺人事件を扱ったのですが、その直前に犯人が自首して逮捕となったのにはびっくりしました。
11月8日に取り上げた事件も、とても悲しいものでした。
目次
大阪府八尾市の事件
今年2月、大阪八尾市で発覚した「女児コンクリート詰め事件」
最大の謎は、その死が18年間誰にも気づかれなかったことです。
近所の人も行政も、その少女の存在を知らなかった。

空き家になった一室で衣装ケースの中のコンクリートの塊を見つけた管理人さんは、すぐに警察に通報しました。
しかし、駆けつけた警察官は「事件性はない。コンクリートは処分していい。」と言うだけ。
納得のいかない管理人さんは再度大阪府警に頼んだところ、訪れた別の警察官がかすかな異臭に気がつき、事件発覚となります。
逮捕されたのは、被害者の叔父でした。
少女の母親(犯人の異母姉)は2004年に家を出て行き、その後は祖父と暮らしていたという少女。
1歳児半検診や3歳児検診も行った形跡なく、幼稚園や保育園にも通ったことがない。
住民票は祖父の依頼で削除(職権消除)されていました。
当時の行政の仕事はこれが精いっぱいでしたが、もしも削除されていなければどこかのタイミングで児童相談所なりが動いて、少女の命が助かった可能性はあったでしょう。
2006年、祖父が面倒をみられないというので、叔父が少女を引き取ることになりました。
少女が亡くなったのはその3か月後だということです。
市営住宅の1室でしたが、隣人でさえ少女の存在を知らなかった。
取材の中で少女の写真が1枚も見当たりませんでしたが、現在福祉施設に入所している祖父を訪ねると、4枚だけ少女の写真がありました。
笑顔の可愛い色白の女の子でした。
アンパンマンの自転車に乗っている姿が悲しい。
生きていたら、今25歳でした。
戸籍すらない子ども
少女には戸籍があったようですが、世の中には戸籍すらない子もいます。
令和の日本で。
現在では、乳幼児健診や未就学児は、自治体によって把握・目視することが実施され、居住実態調査も徹底され、簡単には住民票が削除されません。
2000年代に相次いだ子どもの事件を受け、国は2015年に各自治体に指針をだし、児童相談所や教育委員会などが連携し、時には警察も協力し調査するようになりました。
こうして居所不明児童(7~14歳)は減少しましたが、今なお74人が不明となっています。
番組では、出生届すら出されなかったという30代の男性にも取材をしていました。
「35年前(男性の)母親が突然生まれてきたばかりの子(男性)を連れてきた」と話す父親。
それきり、出生届も出されず、学校にも病院にも行くことなく、戸籍のないままに過ごしていましたが、NPO法人の尽力で現在は戸籍を得ることができたという男性。
息もできない夏
無戸籍問題を取り上げた2012年のドラマ『息もできない夏』を思い出します。
主演は武井咲さん。
このドラマで初めて中村蒼さんを知りましたが、圧倒的な存在感でした。
当時としてはあまり視聴率がよくなかった作品のようですが、私は心に残っています。
令和の日本で、戸籍のない人がいるとは。
考えさせられる問題です。

