ずいぶんと前に購入したいたのですが、なかなか読む暇がなく、ようやく読み終えました。
夏川草介氏の『臨床の砦』です。
初版は2021年4月。
小説家であり消火器内科医でもある作者の夏川草介氏は、この小説を病院勤務後の1~2時間を使い、2021年1月末から2週間ほどで書き上げたそうです。
当時はワクチン接種が一般的になる前のコロナ第3波の真っ只中で、物語の内容も第3波の長野県独自の「医療非常事態宣言」下での病院の様子です。
「現実そのままではないが、嘘は書いていない。」という夏川氏。
自身が長野県内で感染症指定医療機関に勤務していらっしゃいます。
小説というよりは医療現場からの悲鳴と医療改善の願い…といったような内容です。
小説としての作品を求めているのなら、この本は違うと思います。
レビュー蘭を見ると大絶賛の嵐。
作者の「今も耐えながらがんばっている人たちがいることが伝わってほしい。」という思いが込められています。
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頑張っているのは医療現場だけではない。
それ以外の場所で戦っている人はたくさんいる。その件についてもう少し小説内で触れてほしかったという気がする。もちろん私個人の感想です。
「飲食業やら旅行会社が死活問題っていうのはわかるんですけどね」「今は経済よりも医療を守ることを優先」という作中の医師。つまりロックダウンすべきということか?
この小説は2021年1月の第3波に書かれたものであり、今書くとまた違った見解になったのではないか…と友人は言っていました。
そう、コロナに立ち向かう人類は、初めての経験ゆえにどこへ向かっていけばよいのか迷走しながら、戦っているわけです。
旦那様のために、全身全霊で尽くすタイプであり、主人公の医師はその姿に感謝しながらも奥様に家の中のことはまかせっきり。
正直、こんな主人公とは娘と結婚させたくないなと思ってしまった私でした。
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